すたぶろ

だから,アニメは楽しい.スタジオゴルゴンゾーラ制作部公式ブログです.

稀によくあるアニメ撮影を振り返るナニカ

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どうも、三浦です。平日になんか書くと宣言してたのでその通りにしようと思いマス。
どうにもしょうもない記事ばかりなので少々マジメな記事にしようかと。
まあここ最近しょうもない記事を書いてたのは私ですが。これでバランス取れるかなぁ?

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 ブログのアクセス解析的にもなんか需要ありげですしおすし。
はてなブログアクセス解析はすごくざっくりしてるので詳細がわかりませんが皆さんこれからアニメやってみたい!という方なんでしょうか?

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そんなわけで需要がありそうだしゴルゴンゾーラの活動内では少々芸歴(?)が長くちょっとくらいは一家言ある(と思いたい)撮影のメイキングでも、と思っていたのですが。
なにげに過去の解説記事はブログ移転前なのでちゃんと見れるか怪しいですしおすし。
これしかなかった手元にあった無難な素材で撮影もしたしおすし。

でもまずはこれからはじめる、という方にはまず撮影とはなんぞやというところがあるし、そこからさらにソフトやパソコン選びがあるだろうと思いいたりひとまず撮影とは何ぞやというところから書き記していこうかと思います。
なお、細かなアニメ専用用語やら変に難しいところはなるべく注釈をつけたいと思っていますが漏れが多分にあると思われますのでそのあたりは何卒ご容赦ください。
あと2回か3回に記事を分けます。そのあたりもナニトゾ・・・。

blog.gorgonezola.com

とはいえ一応まともに見れる過去記事を見てみると意外とマトモなことを書いてある部分もあるので骨子の部分にあまり差がないかもしれません。
にしても今も昔も頭の悪そうな文章書いてんな。
ただ、この過去記事に限らず今までの撮影解説編はどちらかというとメイキング的側面が強いので私の思う撮影の心構え的なところを今回補っていこうと思います。

漸く本題。まずは「撮影」とはなんなのか。
まず役割として大きいのが素材をまとめて動画にするというところ。
アニメ制作で撮影より前から上がってくる(音声以外の)素材はすべて静止画です。
そのまま放置しておくとただばらばらの素材があるだけで鑑賞に堪える状態ではありません。

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このカットなんかはキャラクターの素材が目と体と分離しているためそのままだとただのホラーです。

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これをちゃんと見れるように合成してやる必要があります。

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こういうことですね。ここにさらに背景画像を合成したり細かく効果をかけたりするんですがそれは来るメイキング編にてということで。

次は心構え的サムシングですが・・・。
まず初めにカメラや写真撮影についての知識があったほうが断然有利です。ですので高いものは沼ると金銭的にデンジャラスなのでスマホからでも写真を撮ることを初めてみるのをお勧めします。
二つめはいろんな実写、アニメを問わず色々な作品で使われている表現にアンテナを張っておくこと。「こんなこともできるんだ」でも大丈夫です。なにかしら特徴的な表現を見つけられると今後それを自分自身で思い出し活用する機会が生まれてきます。
そして三つめはたとえ指示書通りに組み立てるだけだとしても画作りをしているんだという意識を忘れないこと。前工程の素材を預かり最終的に視聴者の目に届く形にしているんだという認識、これが地味に大事なところです。

ではまずなぜ写真撮影が必要かといえば如何なアニメでも実写の表現を模倣した画作りというのを多少なりとも必要とされているからです。
最近だと「Ufotable」や「京都アニメーション」の作品や「新海誠」さんの作品ががその模倣がすばらしいと評判になっているのを見かけます。

*1

あそこまで実写ライクな表現に忠実*2ではなくとも被写界深度(要はピント)の調整であったりとか時間帯ごとにあるちょっとした色の違いなど現実の風景がヒントとなるものが多いです。
下はぼかしあり/なし(これが被写界深度というヤツ)の一例。

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アニメではあまりに現実的に効果をつけるといささか物足りないことが多い*3ので一概には言えませんがどの程度ぼかしたらいいのか、どの範囲で付けたら違和感がないのか。そのあたりのことは実際に写真撮影をした経験があるとイメージが大変湧きやすくなります。
イメージが湧きやすくなると単純に仕事も早くなりますしなんらかの要求に対しての受け答えもしやすくなります。

このイメージを持っているというのが二つめのアンテナを張っておく、というところに少しづつ話が移ってきます。
撮影というと監督のようなポジション*4になると作品会議に参加することになります。プロダクションによって様々でしょうが作品会議では作品の方向性を決めていくことになります。
たとえばふんわりした作品にしたいであるとかあるいはかっこいい作品にしたいとか。
それに対しこちらからプランを提示することができたり、あるいは要求された表現が可能であるかどうかをこたえることができたりします。

www.tbs.co.jp

ひだまりスケッチのほうだと水玉模様を背景に合成したい*5というオーダーがあったのでしょう。これがあることで普通よりもポップでかわいい感じになります。
ルパンのほうの場合花か蔓が伸びていくような表現*6が多用されています。映像中で蝶が飛んでたりと峰不二子らしいなんともエロい映像になっています。
これが2つ目のいろんな表現にアンテナをはっておくといい、という最たる例です。
もしその表現を我がモノとしていたら私はこんなことができますというちょっぴり就活的アピールもできますし、会議のさなかこんなのもあるよと提案をしやすくなります。
ちょっとエロい映像作るのに露出しろっていうのはちょっと単純すぎて頭の悪い回答ですからね。そこは知的にいきましょう。そもそも露出しようとしたら描き直しだし。

余談ですが技術を習得していると実際作業に要する時間や手間がわかるのでスケジュール的な観点での提案もできるようになります。
どうしても理想の実現のため効果の高度な表現を使いたいんだという場合が往々にしてあります。しかし高度な表現ほど負担が大きく、スケジュールを圧迫してしまうなんてことがあります。こうした表現を行いたい場合は無理にでも頑張るのか、多少マイルドにするのか事前の打ち合わせが大変重要になります。
また、事前に素材を特殊な方法で用意する必要があることもあります。

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これは上が元素材でしたが加工済み素材です。今回は私が一人で勝手にやっていることなので私が不要なところを消しました。あんまり特殊ではないですけどわかりやすいので。
なぜ消したのかといえば元背景にある電灯の表現の一部が現在使用しているライトの素材と相性が悪いからです。これな↓

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もし実際に制作をし背景を描き終わったあとに邪魔なんだけどとか言い始めたら現場に無用な混乱を招いてしまいます。簡単に済む程度ならいいですがそうでないなら考えたくもないってヤツですね。
ある一定の素材の用意の仕方であれば簡単に効果をつけられるようになるといったことは事前に打ち合わせておくことが肝要です。
始めたてはここまでできる必要がありませんがいずれできるようになるのが理想だと思います。これは自分自身で作品を作る際にも十分発生しうる問題でもあります。
 

三つめの画作りをしているという意識を持つことというのは撮影が映像づくりという意味では実質的な最終工程であるという点に基づく考えです。
撮影というと上のタイムシートのように指示通りに作業をするという側面が強いところがあります。完成した素材を扱う分作画などと比べるとクリエイティブ性が薄いんじゃないかなんていう印象もあるようです。

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ただの合成とエフェクトなどを完備した完成品とではちょっと極端ではありますがここまで差があります。
もらった素材を良くするのも悪くするのも最後の撮影で決まります。編集や音響に移ってからでは映像そのものクオリティを上げることはできません。
アニメ制作では結構いろいろなことが分業化されておりたくさんの仕事がありますが、意外にも画作りをする場所というのは絵コンテやレイアウト*8を別にすれば撮影というポジションただ一か所です。
たかだか一か所しかないポジションの失敗でそれまでにあるたくさんの工程の頑張りをパーにしてしまうかもしれません。あまり委縮しすぎるといいことがないので意識するのはほどほどで十分と思いますが、素材を用意している前工程に多少なりとも敬意を持つことを忘れるべきではないと思います。
このことを忘れないでいると自然とクオリティの高いほうへ作業をしていこうと思えるのではないでしょうか*9
普通にアニメ見ている人たちにはただの合成と完成品があそこまで違うとあまり認知されていませんがいい素材をもっとよくしたんだとささやかな誇りと自負にしていきましょう。

以上が一家言持っている(と思いたい)私の考える撮影心構え的なヤツでした。
思ったより難産な記事になったぜ・・・。そして平日も終わりかけや。
なんか妙なオチがついてまった。

*1:この作品の場合は京アニ作品や新海誠さん作品と違い3DCGを多用していると思われるので前者2つとは作品作りのアプローチがかなり異なると思われる

*2:アニメで写実的なことをやろうとすると背景素材にかなりの描き込みが必要とされることが多いのでまず大抵は避けて通ることが多い。いくらぼかしをかけるとはいえヌルいディティールの素材はぼかしてもヌルいことが多い印象がある。またキャラとも浮きやすいのでなかなか表現に気を遣う

*3:アニメ素材は実写素材と比べ色が平坦なので弱く効果をかけると必要以上に弱く見えやすい

*4:ゴルゴンゾーラの場合撮影に限らず担当者がほぼ1人だけというだけ・・・

*5:コレの場合はどちらかというと原作再現

*6:いわゆるフローリッシュアニメーションというやつ

*7:これはゴルゴンゾーラ内別作品のもの。赤い四角の中でキャラクター素材を使うタイミングを指示されている。カメラワークがあればそういったことも指示される

*8:どんなカメラワークと場面の遷移で話を進行するのかを決めるのが絵コンテ、その絵コンテをもっと制作に使いやすい形にクリンナップするのがレイアウト

*9:身も蓋もないですがブラックにならない程度に頑張りましょう

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