前回の記事の続きです.
どうも動画の田野です. 制作部では,ちょうど5月1日から今年度の新規作品の制作が始まっています. タイトルも内容もまだ本決定にはなっていませんが,予定通りだと前作「あいかの手帳」の本編になる予定です.
さてまず始めに決めなければならないのは,脚本とキャラクターのデザインです. 脚本はすでに打ち合わせが始まっていて,今月半ばには第2稿が完成する予定です.
問題はキャラクター. 今回は,キャラクターデザインのたたき台になるような「ラフモデル」を手早く作ってしまいましょうという記事です.
現状の最新資料は、2月更新のざっくりとしたものです. これではキャラクターのイメージもわきません.
普通ならここでキャラクターデザインをかき起こして,という流れで進めていきますが,今回はラフモデル(たたき台となるモデル案)をモデリングしてしまいます.
ラフモデルの制作は,こんな感じで進めていきます.
それでは,順を追って見ていくことにします. (先ほどの順番は,すぐに無視し始めます)
ラフモデル制作のベースとなるモデルを,既存のモデル群から選ぶ.
今回は前回作りましたヘスティア様のモデルをベースにしたいと思います. 理由は単純で,もうすでにちょっとツリ目だからです.
また,既存のモデル群のなかで一番新しいというのも理由の一つです. 変な部分がおおかた修正されているので,楽に作ることが出来るはずです.
早速フェイシャルのモデリングを進めていきます.
まずはヘスティア様の目の様子を,拡大してみます.
瞳の部分はテクスチャが貼り込んでありますが,その他の部分はすべてポリゴンで表現されています. 編集可能ポリゴンの状態では,すこしカクカクに見えますが,前回の記事でご説明したように,ターボスムーズを適用すると,滑らかになります.
ターボスムーズを適用すると,すべて丸く補完されていきますが,眼のディティールなど,時には丸めてほしくない部分もあります. こういう場合は「折り目」を適切に設定することで,乗り切ります.
選択されている赤いエッジ(辺)の部分に折り目を付けるのが,今のところのセオリーです.
もっと上手い方法があるとは思いますが,少なくともこうすると上手くいきます. 外側のエッジに折り目を付けてしまうと,その部分だけカクカクになってしまいます.折り目が設定されている部分には,ターボスムーズは効果を出さないわけです.
なので,内側から支えるイメージでエッジを設定します.
折り目の設定がないものは,すこし長さが短くなってしまっています. 対して折り目を設定したものは,元の長さのまま形が保たれていることが分かると思います.
ではこの調子で眼のモデリングを済ませてしまいましょう(ん?)
眼のモデリングとテクスチャの変更が済んだところです.
使えそうなポリゴンはそのまま流用し,新しく作らなければいけない部分だけに集中します. そうすることで,極めて短時間でモデリングを済ませてしまうことが可能です.
ラフモデルですからね. あくまでもアイデアを打ち合わせるためのモデルですので,時間をかけていてはいけません.スピード勝負です.
本当はフェイシャルのモデリングをしているところのスクリーンショット,たくさんあったんですが,全部消えてしまいました.
自動でスクリーンショット撮りまくるソフトを使ったのですが,ファイル数上限までくると,古いファイルから削除していく仕様だったようです. モデリングが終わって,一息ついたときに気がついたのですが,時既に遅し. ファイルの復元も無理でした.
フェイシャルモデリングは,また別の機会に. 髪の毛を作るところからスタートです.
髪の毛は,ヘスティア様の前髪を拝借してモデリングしていきます.
ちょうどパッツンな感じにしたかったので,ちょうど良いですね. 既存のパーツを遠慮無く使うのが,ラフモデルを素早く作り上げるコツです.
イメージを固めるあたりは,イラストと同じですね. ただ,このときに不要な頂点などは除去しておきます.そちらの方が編集も素早く終わります.
ベースになるオブジェクトが出来たら,あとはそれをオブジェクトとして複製していきます.
なかなか良い感じではないでしょうか? このまま進めていきましょう.
前髪パッツンにとって毛先は重要ですから,丁寧に頂点を編集します.
結構こだわりありますから.前髪パッツンには. ただの複製ではなく,あくまでもそれをベースにしてディティールを加えていくイメージです.
横髪も同じように,ベースになるパーツを複製してディティールを整えていきます. 横髪は少し長く,波打たせたりしますので,前髪より時間がかかります.
これも時間をかけるのではなく,モデリングしつつイメージを固めていきます. ラフモデルにはスピードが重要なわけです.
横髪を仕上げると,前から見たときの印象も,ぐっとイメージに近づきます. ここでのコツは,房の長さや形状を,ある程度変えておくということです.
もしも完全に変えてしまいますと,下地の頭部が見えてしまったり,統一感のない影の落ち方をしてしまいます. なので,ほどほどに変更しておくと一番良いです.
想像よりも良いものが出来ました. ここまでにちょくちょく顔のバランスもいじっています.
ラフモデルにはアイデアをまとめるという意図もありますので,気がついた部分はその都度修正してしまうのが良いでしょう.
後ろ髪はさほど重要ではないので,一枚の面を伸ばして作ってしまいます.
本当は,しっかり房を作ってやるのですが,それは本番用モデルに任せましょう.
だいたいモデリングし始めてから3時間半ぐらい経っています. 紙に向かってキャラクターを考えるのも楽しいですが,こうやってぐるぐる回しながらキャラクターを作っていくのも良いですね.
ツリ目でたれ眉のキャラクターが良いと思ったので,ちょっとツリ目にしてみました. ツリ目に見えますか?
まゆも,一応たれ下げているんですが,前髪に隠れてよく見えませんね. これは要検討でしょうか?
レンダリングしてみました.
なるほど,我ながら良いキャラクターデザインですね. 早速これを打ち合わせで出してみましょうか.
以上がラフモデルの作成についでです. ずいぶんと長い記事になってしまいましたが,以上で終わりです. 明日はもっと手を抜きます.