ほぼモデリング担当と化していますが,脚本を書いたりもしています. 今日のトップ画像は,言わずもがな今作主人公のモデルです.
意外とモデリングが上手くいきましたので,このデザインで本編は進んでいくことになりそうです.そのため,今回は実際の映像にモデルを使用するにあたって重要となる「モーフターゲット」についてです.
今日の内容
- 眼の凹面化
- モーフターゲットの作成
- 作成したモーフターゲットの構成
まずは簡単な眼からご説明します. いままでのモデルですと,眼は凸面になっていました.
レンダリング画像を見ますと,眼が若干凸になっていることが分かります.
もちろん自然に考えると,眼は凸面で問題ないのですが,イラスト的な表現を目指すためにちょっと工夫してみることにしたわけです. ちなみに「楽園追放」のアンジェラのモデルも,眼は凹面になっていました. ぱくりました.
眼は円形のテクスチャが貼り込まれていますので,それを凸面にしてしまうと,すこし膨らみ過ぎたような眼になってしまいます. ですが,眼を凹面にすることで,幾分かそれを押さえられる気がします.
今まで眼には球体が入っていました(!)ので,ポリゴン数も上手いこと減りました.良かった良かった.
すこし眼もすっきりとして,かわいらしい印象です.
モデルを実際の作品で使おうとすると,それをアニメーションさせるための準備が必要になります.その中でも重要なのが,フェイシャルモーフです.
これは顔のポリゴンを時間に沿って動かすことで,表情の変化を付けるための仕組みです.モーフという仕組みを使っています.
オリジナルのジオメトリは変更せずに,このように表情を付けていきます.
この指示のためにはモーフターゲットというオブジェクトと,「モーファー」というモディファイヤが必要です. この解説はWebのヘルプに任せるとして(良い解説がたくさんあります,勝てません),ここでは今回作成したモーフターゲットシステムをご説明しようと思います.
これが今回の肝になる部分です. 一番左の半分のオブジェクトの「参照コピー」で,その他全てのオブジェクト(モーフターゲット/レンダリングオブジェクト)が構成されています. そのため,顔のジオメトリを少し変更したいなという場合は,この半分のオブジェクトを編集すると,全てのオブジェクト(モーフターゲットも含みます!)に適用されるわけです.
普通にモーフを構成すると,顔の再編集でやり直しになってしまいますからね. ここはとても大きなメリットです. (特にモデルの編集はこの後も続きそうなので,嬉しいですね)
半目などのモーフは,左右で対称に作る際「シンメトリツール」などを使って注意深く構成する必要があります. 本来ならこのシンメトリツールを使えば良いのですが,このシンメトリツールは「編集可能ポリゴン」上でしか動作しません.
右のスタックをみますと,編集可能ポリゴンはベースメントの「参照」ですので,書き換えてはいけません(全てのオブジェクトが影響を受けるためです) そのため,個別に「編集可能ポリゴン」を適用して,その上で編集を加えています.
この状況で効果を発揮するのが,もう一つのベースメントです.
このベースメントは,モーファーの上にシンメトリモディファイヤが適用されています.
先ほどの半顔のモーフターゲットを,このベースメントに適用することで,シンメトリがかかるというわけです. 手間のかかる事をせずに,簡単に左右対称のモーフターゲットを構成することが出来ます.
実際のアニメーションでは,ある程度のモーフターゲットを用意しておきますが,多くの場合,その都度新しくモーフを作る必要があります. その際,簡単にモーフターゲットが構成できるのは制作上大きなメリットです.
レンダリングオブジェクトを見てみると,うまく左右対称になっていることが分かります.
基本的な考えはありましたが,実際にモーフシステムを構成するのは意外と時間がかかりました. さすがに頭の中だけでは無謀ですので,しっかりと紙の上で構想は練りました.
今までのモーフターゲットとは違って少し複雑ですので,ちょっと図解してみました.
中央のレンダリングオブジェクトのスタックを確認すると,複数段の参照があることが分かります.それぞれにモーファーが設定されており,左右対称モーフと左右非対称モーフを併用できる仕組みです.
しかしこのモディファイヤの仕組み,すごくよく考えられていますね. 改めてMaxの凄さを実感した気がします.
今回の成果をレンダリングしてみました.
まだそこまで大規模ではありませんので,レンダリング時間も短いものですが,今後どのくらいかかるようになるのか,いまから戦々恐々としています.
今日はお休みでしたので,明日頑張ります.